イタリア・ジェノヴァでのスティーヴ・グロスマンのライヴ盤。アート・テイラーとの競演によるピアノレストリオです。ジャズプレイヤー好みの選曲がいいですね。ハードバップ時代のコルトレーンが演奏した曲をいくつか演奏しているのが興味深いです。
1曲目(Afternoon In Paris)はジョン・ルイスによる軽快な曲。オープニングに軽く肩慣らしといったところでしょうか。
2曲目(Soultrane)はタッド・ダメロンがコルトレーンに捧げた美しいバラード。とめども尽きぬといった感じのカデンツァから始まります。コンパクトにまとめられた演奏です。いい曲ですね。
3曲目(Why Don't I)はグロスマンお好みのロリンズナンバー。どこまでもゴリゴリと唄うグロスマンにただ身を委ねる快感があります。数多く現れる引用フレイズもなかなか。アート・テイラーも燃えてますね。
4曲目(Whims Of Chambers)はタイトル通りポール・チェンバースの代表的なオリジナル。ジャム・セッションでもよく演奏される曲です。ダブルタイムも何度か交えてジャムセッションライクです。
5曲目(Medley)はグロスマンのオリジナルであるExtemporaneousとパーカーナンバーであるMy Little Suede Shoesのメドレー。前半のExtemporaneousは何かのスタンダードのようなコード進行。これもゴリゴリのアドリブですが、ソロ後半では切れそうなフレイズが出てスリリング。ドラムソロからそのまま後半のMy Little Suede Shoesへ。グロスマンは息も付かせぬ勢いで次々とフレイズを畳み掛けます。よくこんなにフレイズが沸いて出てきますね。
6曲目(Soul Eyes)はコルトレーンが演奏したマル・ウォルドロンのオリジナル。2曲目と同様カデンツァから始まります。前半はゆったりとしたテンポ。音色が実に魅力的です。途中からはミディアムテンポ。私個人としてはそのままバラードで押して欲しかったです。このアレンジはちょっと...、という気分ですね。
7曲目(C.T.A.)はジミー・ヒースのオリジナル。アンコールといった風情。かなり早いテンポですが、一瞬の破綻もなくビバップフレイズが繰り出されていきます。ところどころロリンズを思わせるひらめきが垣間見えます。
ここでは時代遅れと感じるほど愚直にハードバップ期のロリンズを追求するグロスマンが聴かれます。決してモノマネでない「気合」に心惹かれます。
|