ブルースを題材に、豪華なメンバーと素晴らしいアレンジでビッグコンボの魅力を伝えたおなじみの名盤。大好きなアルバムです。
1曲目(Stolen Moments)はこのアルバムで有名になったマイナーブルース。ジャズマンのスタンダードになっています。ゴージャスなハモリにのせたテーマがなんといっても魅力。アドリブではDolphyのフルートが印象的です。かっちり演奏されているようですが、よく聴くと意外にラフですね。
2曲目(Hoe-Down)は循環。メインのコール&レスポンスが効いた痛快なテーマが気持ちいいですね。中間部のメカニカルなメロデイも魅力的です。アドリブですが、やはりDolphyが光っています。
3曲目(Cascades)はタイトルどおり滝のように流れるようなテーマを持つブルース。テーマにちょっとColtraneの演奏を感じさせます。展開など無視して若さをぶつけるHubbardが印象的です。はかなげなEvansもいいですね。不響和音の響くラストも印象的。
4曲目(Yearnin')はオーソドックスなスタイルのブルース。官能的なテーマのハモリが古きよき時代を感じさせます。四管のハモリでここまで豊穣なのも珍しいですね。得意のコール&レスポンスも効いています。何といってもこの曲の白眉はDolphyでしょう。調和の中で見せる違和感のバランスにたまらない魅力を感じます。Evansはやりやすいテンポだったのか、短くも充実したソロです。
5曲目(Butch And Butch)はKeith Jarrettも演奏したブルース。Charlie Parkerをもろに意識したビバップライクなテーマがいいですね。編曲ではバリトンの使い方がいいです。HubbardとDolphyのソロの入れ替わり方がなんともいえずスリリングです。Dolphyは短いながら本領発揮ですね。
6曲目(Teenie's Blues)は不響和音が気になるテーマ。Nelson節といったメロディです。Dolphyは引用フレーズもおりまぜ、比較的長い、相当自由なアドリブです。ラストに不安感を感じさせつつ、アルバムは終了します。
ビッグコンボの魅力が詰まった一枚。編曲の妙だけでなく演奏者個人の技も楽しめる、お得なアルバムです。
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