Chico Hamiltonの名高いアルバム。ご存知の方も多いでしょう。チェロが入っている変則的な編成が興味をそそります。
1曲目(A Nice Day)は凝った構成のオリジナル。トゥース・シールマンスの「Bluesette」に少しだけ似た、オシャレな曲。アレンジが凝っており、アドリブとの境目がほとんどわかりません。
2曲目(My Funny Valentine)は有名なスタンダード。ほとんどアドリブはなく、全編に緻密なアレンジが施されていています。クラシックの小品のようになっていて、特にチェロが効いていますね。
3曲目(Blue Sands)は映画「真夏の夜のジャズ(Jazz
On Summer's Day)」で演奏された曲。湿気の多そうな部屋で一心にフルートを吹くEric
Dolphyが印象的でした。ここではそのときのムードそのままに始めは静かに、その後徐々に熱く盛り上げていきます。アラビア風ですね。Jim
Hallがいい仕事しています。
4曲目(The Sage)はほとんどアドリブのない、クラシックのような小品...と思っていたら、チェロのFred
Katzの作品でした。流れるような、穏やかな気分にさせてくれます。
5曲目(The Morning After)は子供のピアノの練習曲のような、チャーミングなテーマを持った曲です。カノンのような輪唱風のアレンジが素敵です。
6曲目(I Want To Be Happy)からはライブ演奏。この曲はスタンダード。急速調ですが、どこか落ち着いた大人のムードを感じさせます。静かに聴こえるチェロの刻みが通常のジャズと印象を変えています。
7曲目(Spectacular)はオーソドックスな曲調。循環かな。休みなく聴こえるJim
Hallのギターが圧倒的です。Buddy Colletteもここではテナーを吹いています。あくの強さやびっくりするような展開こそありませんが、ストレートな魅力が満載です。
8曲目(Free Form)は文字通りのフリー演奏。それでもどこか雅な感じがするのはこのグループならではの特徴なんでしょうか。ここでも仕掛けているのはJim
Hallです。Buddy Colletteの反応の良さもいいですね。
9曲目(Walking Carson Blues)は極めてオーソドックスなブルース演奏。おそらく何の打ち合わせもなく演奏したんだと思います。少し内省的な印象を与えます。
10曲目(Buddy Boo)もブルース。9曲めよりも明るい、前向きな感じがしますね。ライブ最後の気づかいしない気楽な演奏といったところでしょうか。
アルバム全般に、特に前半に絵を見ているような気持ちにさせてくれるムードをただよわせています。Chico
Hamiltonは相当なロマンチストだったんじゃないでしょうか。そんな気にもさせてくれるアルバムです。
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