このアルバムから受ける印象は「スゥイング」です。全員が迷うことなく内容の豊かなハードバップを聴かせてくれます。
1曲目の「In A Hurry」からスゥイング感抜群でつかみはOK。本アルバムのただならぬ出来を感じさせてくれます。いわゆるブルースなんですが、各人のアドリブが文句無しのため全く飽きさせません。
2曲目の「The Shade Of The Cedar Tree」はCedar Waltonに捧げられた曲。そう言われるとメロディラインが彼の曲のようです。
3曲目の「Too Close For Comfort」はピアノトリオ。ルイス・ナッシュの細やかなブラシ、サイラス・チェスナットのきらめくピアノにはうっとりです。もちろんマクブライドは言うことなし。
4曲目の「Sitting On A Cloud」ではアルコの至芸とハーグローブのフリューゲルホーンが楽しめます。
5曲目の「Splanky」は前半のハイライト。ベーシスト必聴と感じますが、いかがでしょうか。マクブライド、レイ・ブラウン、ミルト・ヒントンのベース共演です。3人三様の素晴らしいアドリブを聴かせてくれます。それにしても2人の巨匠に一歩も引かないマクブライドはただ者ではありません。何度も繰り返し聴きたくなる名演です。
6曲目の「Gettin' To It」はR&B好きと公言するマクブライドの趣味が現れた演奏。リズム・ハーモニーともいわゆる「ジャズ・ロック」ではなく完全にR&Bですが、思わず体の動く見事なジャズになっています。私事ですが、このアルバム発売当時にこの曲をNewYorkのVillage Vanguardで聴き、至福の時を過ごした思い出の曲です。
7曲目の古いスタンダード「Stars Fell On Alabama」はトリオによる演奏ですが、全編に亘りベースがリードメロディをとります。アドリブは当然素晴らしいとして、音程バッチリですねぇ。テクニックも凄い!
8曲目の「Black Moon」はジョシュア・レッドマンのワンホーン。この曲は彼のアルバムによく現れる曲調ですね。この曲だけテナーのアルバムみたいです。それだけジョシュア・レッドマンの個性がすでに確立されているということなのでしょう。
9曲目の「King Freddie Of Hubbard」はフレディ・ハバードに捧げられた曲。元気のいいハードバップです。
10曲目の「Night Train」はソロによるベース。テクニックと歌心が絶妙のバランスです。まるで多重録音のようです。
|