デトロイトの仲間で演奏されたというアルバム。Pepper Adamsがリーダーとなっていますが、ノンリーダー作でしょう。ジャケットがしょぼいアメコミ調で購買意欲はそそりませんが、中身はとてもいいアルバムです。
1曲目(Stardust)はスタンダードの名曲。名曲名演の手本のような演奏です。ワンホーンでヴァースからゆったりと唄うDonald Byrd、最高です。ヴァースの後メインのテーマへ。ここでも照れくさいくらいストレートにテーマを唄います。そしてそれが見事なジャズになっていますね。Tommy Flanaganのアドリブのあと燃えるようにアドリブ。しかしテクニックに走らず、あくまでも歌心は忘れない演奏です。アルバム一番の名演。
2曲目(Philson)はストレートなブルース。Pepper Adamsは力強いソロ。Kenny BurrellとTommy Flanaganはややおとなしめですね。Byrdは短いですが華のあるソロです。Paul Chambersがピッチカートでまとめます。
3曲目(Trio)はEroll Garnerの曲。リフともテーマともつかないメロディが耳に残ります。ブレイクから入るPepper Adamsはぐいぐいと引き寄せられるような魅力にあふれています。Adamsはこういう演奏が一番ですね。BurrellとByrdもAdamsに刺激されてハリのあるソロです。特にByrdがいいですね。周りとのコンビネーションもいいです。
4曲目(Libeccio)はラテン風味あるチャーミングなメロディ。全員がリラックスしきった演奏を聴かせます。
5曲目(Bitty Ditty)はマイルスも演奏したサド・ジョーンズの佳曲。何故かアドリブはBitty Dittyのコード進行とは無縁の、ただのブルースになっています。どうしたことなんでしょうか。ともかく、ここではそれぞれがいい意味で気楽な演奏を聴かせます。
普段は別々に活動している同郷のジャズマン達が、とあるジャズクラブの企画で一同に会し、セッションをした...。そのような古きジャズマンの日常の一こまを切り取ったようなアルバムです。決して目立つことはありませんが、ジャズ好きには魅力的なアルバムではないでしょうか。
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