Riversideの名盤。MonkのバンドにMulliganが客演した格好になっています。MulliganがMonkの胸を借りた、というところですが、どこまでMulliganが自分の個性を出せるかが聴いていて興味深いところ。
1曲目('Round Midnight)はMonkの輝かしいオリジナル。テーマをMulliganが吹きますが、オブリガードをMonkが弾くのでどうしてもそちらに耳が行きます。対するMulliganは少しずつ自分のカラーを出していき、ソロではMonkを相手に独自の世界を構築します。いい勝負ですね。
2曲目(Rhythm-A-Ning)はかなり急速調。Mulliganはビバップの正当派のアドリブです。Monkのアドリブは時折下降するドミナントモーションや半音進行を加えて得意のフレーズです。最後、MulliganとMonkの掛け合いがありますが、Monkのバッキング、タイミングが実に興味深いです。
3曲目(Sweet And Lovely)は「Thelonious Monk Trio」でも演奏されているMonkのお気に入りのスタンダード。ラストのメロディがお気に入りなのか執拗に繰り返します。それがこの曲のカラーを形成していますね。Monkのオリジナルのようです。続くMulliganのアドリブは極めて上質ですが、いかんせんバッキングが強烈なのでMonkのバンドの一員のようです。
4曲目(Decidedly)はMuliganのオリジナル。ほのかにWest Coast Jazzの香りのただようテーマです。他人のオリジナル曲をMonkがどう料理するのかが興味津々ですが、おとなしく従っています。途中でMonkが抜けるのでここはMulliganバンドのようですね。続くMonkのアドリブは短い断片の積み重ね。
5曲目(Straight,No Chaser)はMonkの高名なブルース。モデラートのテンポです。Muliganのソロの冒頭、MonkのバッキングにMulliganが刺激されている様子が手に取るように感じられ、こっちまで緊張してきます。ベースソロのあと満を持して登場するMonkのソロは、短くも独自の世界。
続く6曲目(I Mean You)もMonkのオリジナル。ソロ先発はMonk、音域を目一杯使いつつ、リズム、ハーモニーとも完全にオリジナルです。やはり圧倒的ですね。続くMulliganもいいソロです。まぁ、Monkのソロのあとは吹きにくいことでしょう。
尊敬する巨匠の前で緊張しつつもMulligan善戦というところでしょうか。とてもいいアルバムです。
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