BLUESNIK

Oscar Peterson Trio Plus One,Clark Terry


>>back - Jazz Album Review Menu
>>back - Main

Mercury

  • Brotherhood Od Main
  • Jim
  • Blues For Smedley
  • Roundalay
  • Mumbles
  • Mack The Knife
  • They Didn't Believe Me
  • Squeaky's Blues
  • I Want A Little Girl
  • Incoherent Blues
1964

Clark Terry(tp),Oscar Peterson(p),Ray Brown(b),Ed Thigpen(ds)

 Clark TerryとOscar Petersonという名人同士の顔合わせ。悪かろうはずがありません。もし未聴の方がいらしたら、まずは聴いてみてください。

 1曲目(Brotherhood Od Main)は小唄のようですね。最初から抜群にスィングします。ユーモラスなTerryの音色に聴き惚れているうちに心地よいスィングの世界にいざなわれる、そんなオープニングです。

 2曲目(Jim)はモデラートでの美しいPetersonのテーマが心地よいですね。あえてこういう言葉を使えば、このオープニングは極上のラウンジミュージックです。静かな会話が似合いそうな音楽です。続くTerryはフリューゲルホーンとミュートトランペットを交互に吹くという技を見せます。こういうとウケ狙いのようですが、決してキワモノではなく、純粋に音楽として成立しているのがすごいところ。

 3曲目(Blues For Smedley)はのびのびとしたブルースです。ここでのTerryはブランジャーミュートかパケットミュートを使っているのでしょうか、実に渋い唄い方をしています。続くPetersonはコロコロとよく転がるメロディ。三連附が気持ちいいですね。

 4曲目(Roundalay)は単純ですが美しいテーマのPetersonのオリジナル。コール&レスポンスのテーマが耳に残ります。

 5曲目(Mumbles)は「つぶやき」でしょうか。タイトルどおり、Clark Terryのスキャットが聴き物です。バップスキャットよりも前の感じですね。余興なのか、あっという間に終わります。

 6曲目(Mack The Knife)は有名曲。ここではPetersonの短くも素晴らしいイントロに導かれて、小唄のテーマを小粋に吹くTerryが楽しめます。続くPetersonのアドリブ、これが実に見事。難しいメロディは一つもありませんが、Petersonにしか弾けないこのスィング感。いいですねぇ。

 7曲目(They Didn't Believe Me)はJerome Kernの比較的地味なバラードです。全編ほとんどアドリブはありませんが、それでも豊かなメロディ表現に耳をそばだてずに入られません。

 8曲目(Squeaky's Blues)は速いブルース。Clark Terryはバップ前期の典型的なアドリブです。Petersonはこぼれる珠玉のメロディに身をゆだねると、これは極楽気分です。

 9曲目(I Want A Little Girl)はスタンダード。朗々と、大らかに唄うClark Terryが素晴らしい。難しいフレーズは吹いていませんが、とにかく心に染み入ります。

 ラストの10曲目(Incoherent Blues)は、これもClark Terryのボーカル。今度はスローのブルースです。歌の中に聞こえる叫び声、笑い声、すべてが「歌」になっています。南部のムードがただよいますね。

 短い曲が多いですが、メンバーの芸達者ぶりのおかげで満足感はたっぷり、のアルバムです。ジャズの奥深さを垣間見ることができますね。



>>back - Jazz Album Review Menu
>>back - Main
inserted by FC2 system