Michel PetruccianiがJim Hall、Wayne Shorterらベテランを相手に一歩も引かない演奏を繰り広げたライヴ盤。Jim Hall対ピアノというとBill Evansとの「Undercurrent」が有名ですが、それに勝るとも劣らない名演奏です。
1曲目(Limbo)は「The Sorcerer/Miles Davis」で初演されたShorterの曲です。Shorter本人を交えてのトリオ演奏。マイルス時代とは全く違うアレンジで聴かせてくれます。
2曲目(Careful)はJim Hallの渋いカッティング、アドリブが光ります。変形ブルースですね。アドリブラインはよく聴くとかなり過激。抜群のリズム感とメロディにくぎ付けになります。続くPetruccianiのラインは右手のみのメロデイで挑戦的です。独特の美しいタッチが魅力満点。
3曲目(Morning Blues)は再びWayne Shorterをフューチュアしての演奏。Shorterはソプラノで自分の世界へぐい、と引き寄せます。物怖じしないPetruccianiがさすが。PetruccianiとJim Hallのアドリブはともに過激で美しいという絶妙なバランスを保っていますね。
4曲目(Waltz New)は「Someday My Prince Will Come」に基づいたワルツ。詩を読むかのように美しいテーマのあと続くJim Hallはオーソドックスなのに新しく感じます。サポートするPetruccianiもさすが。一つの楽器のようです。攻守ところを変えても質は変わりません。当然といえば当然ですが、それにしてもお互いに大変な実力ですね。
5曲目(Beautiful Love)はBill Evansも愛したスタンダード。テーマ後のアドリブ冒頭、互いの間を読みながら、美しくも過激なタッチで挑発しあうピアノとギター。緊張感ある名演奏です。続く抜群に粒立ちの良いピアノソロの美しさは、いつもながらさすがですね。
6曲目(In A Sentimental Mood)はPetruccianiがルバートでテーマ。そしてJim Hallがもう一度イン・テンポでテーマを。見事なテーマ解釈に酔いしれることが出来ます。続くアドリブは水面に浮かぶようにメロディがハーモニーの間をすり抜けていきます。うーん、美しい。
7曲目(Bimini)は三たびShorterを交えてのトリオ。浮き立つようなテーマとカリプソのリズムが魅力的な、アルバムのラストを飾るにふさわしい名曲です。Shorterのアドリブは彼にしては比較的オーソドックスですが、それでも無視できない魅力があります。絶妙なソロの移り変わりで続くPetruccianiは力強いタッチが魅力的。リズムを強調した勢いのある演奏です。Jim Hallは途中、ソロでアドリブ。これもさすがです。この曲には何度か転調が挟まれるのですが、この転調がこの曲を普通の曲とは違う魅力あるものにしています。
ピアノの化身ともいわれた名人=Petruccianiがデュオの名手と挑んだライブ。結果は上々で、残されたアルバムは忘れられない名盤となりました。ビデオも出ているようですね。見てみたい!
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