村上ポンタ秀一の「Ponta Box」がモントルー・ジャズ・フェスティバルで演奏したライヴ盤。気後れすることのない豪快なジャズで圧倒しています。
1曲目〜6曲目まではMiles Davisゆかりの曲を演奏しています。村上ポンタ秀一はMiles Davisフリークですから、本人ゆかりの大舞台で演奏してみたかったのでしょうね。
幕開けの1曲目(Nefertiti)は静かなイントロから徐々に盛り上がる熱狂が印象的です。ファンであるマイルスへの思いなのでしょうか。
一転して駆け抜ける2曲目(Pinocchio)は粒立ちのいいベースラインに魅了されます。三位一体となったトリオは気持ちよさ満点。
3曲目(Ginger Bread Boy)はJimmy Heathの名曲。変則ブルースのサウンドを次々と変え、飽きさせません。
4曲目(Seven Steps To Heaven)は丁寧なピアノと豪快なドラムが印象に残る演奏。ホントにMilesが好きなんだな、ということが伝わってきます。
5曲目(Footprints)はスピード感と誌的な印象が交互に訪れる名演奏です。
6曲目(If I Were A Bell〜Freedom Jazz Dance)はIf I Were A Bellのテーマのあと、ドラムソロを挟んでFreedom Jazz Danceに突入。メドレーの末尾を飾るにふさわしい気合です。空間に散らばるピアノのメロディとドラムのサウンド、いいですね。
このメドレー、意識してか知らずかMiles本人のオリジナルが一曲もありませんが、見事な「Miles Davis Medley」になっています。
7曲目(Pin Tuck)は6曲目からそのまま続くオリジナル。モードのラインと随所に散らばるための効いたキメが心地よい快感です。
8曲目(Dawn)は村上ポンタ秀一のオリジナル。Naimaをモチーフに、もう少し歌もののようにロマンチックにしたような感じですね。コード進行がいいです。アドリブらしいものはありませんが、立派にジャズしています。
9曲目(Fifteen)はその名の通り15拍子なのでしょうか、複雑なリズムを持つ曲です。気づいたら裏返ってしまいます。水野正敏さんのベースに惹かれます。
10曲目(Concrete)は日本風情を感じるイントロに始まる、スペイン調の哀愁メロディとハードなリズムが交錯する曲。何度も訪れるクライマックスと煽り立てる怒涛のドラム。アルバム一番の演奏です。
11曲目(Love Goes Marching On〜Straight,No Chaser)は甘辛いルンバのサウンド。歌がつきそうないいメロディです。途中Sing,Sing,Singのメロディを挟んで盛り上がるルンバ。華のある演奏です。佐山雅弘さんが大活躍しますね。拍手の中始まるStraight,No Chaserはテーマのみのおまけ。それでも魅了してしまうあたり、実力を感じます。
アンコールの中始まる12曲目(Nardis)はベースを大きくフューチャーした演奏。爽快です。
日本人だからなどと難しく考えず、歌い、スゥィングする。大舞台に負けない思い切りのいい、活きのいいジャズであると同時に、すばらしいトリビュートアルバムでもあると思います。盗作スレスレのジャケットにあくまでも諧謔精神を忘れないセンスを感じます。
|