おなじみ、MJQのアルバム。素晴らしいジャケットデザインですね。
1曲目(The Sheriff)はタイトルから想像できるように、音楽で「逃げる犯人、追う警官」を想像させる曲です。急速調のリズムに乗るMilt
Jacksonのおなじみのアドリブ。変わらない魅力がここにあります。ラスト、ゆっくりになりますが、捕まったんでしょうか。
2曲目(In A Crowd)はjohn Lewisが得意とする、小粒で愛らしいメロディの曲。しかし、よく聴くとかなり激しい転調が効果的に配置されています。アドリブは難しそう。こんなひねくれた曲をどのようにアドリブするんだろう、と思いますが、さすがMilt
Jacksonは10年前から愛奏しているかのようになめらかに唄っています。
3曲目(Bachianas Brasileiras)はアルバム中でもっとも印象的な曲。名盤「たそがれのベニス」に入っていてもおかしくない、しっとりとしてクラシカルなボサ・バラードです。タイトルから察するに、「ブラジル調バッハ風味」といったところでしょうか。てっきりJohn
Lewisの曲かと思ったら、違うようですね。キメが多いですが、盛り上げてくれるので飽きさせません。
4曲目(Mean To Me)はこのアルバム一曲目のスタンダード。リラックスしていますね。緊密な3曲目といいコントラストを描いています。段々と乗ってくるMilt
Jacksonがいいですね。LPだとここでA面が終了です。
5曲目(Natural Affection)もボサノバ。3曲目と比べて、もう少し熱帯的というか、濃密なムードをかもし出しています。何故だろう、と思ったらテーマがピアノで、ヴァイブは休みだったんですね。Milt
Jacksonはアドリブで登場。それにしてもJohn
Lewisは本当に魅力的な曲を書きますね。アドリブのし甲斐があるというか、いい意味で聴く側を裏切る心地よいコード進行です。
6曲目(Donnie's Theme)はこのアルバムでは珍しく、ハードバップ風味です。ちょっと印象が薄いですね。可もなく、不可もなく、です。
7曲目(Carnival)は「黒いオルフェ」として有名な、このアルバム二曲目のスタンダード。「カーニバルの朝」でしたっけ。ボサのリズムに乗って、Milt
Jacksonの静かなテーマと情熱的なアドリブの対比が余りにも美しいです。
トータルで30分程度。あっという間に過ぎますが、カラフルで内容充実のアルバムです。60年代前半はボサノバが流行ったようですが、このアルバムでも瑞々しいリズムを随所で聴くことができます。
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