当時売り出し中のBenny GreenがVillage Vanguardで演奏した素晴らしいライブ作品。新世代が一体となって演奏するスゥイングの醍醐味が堪能できるアルバムです。
Benny Greenによる曲目紹介(Introduction)のあと、2曲目(Don't
Be 'Shamed)。どこかレトロな曲調が魅力的です。早くもまとまったグループサウンドが感じられます。まずは肩ならしといったところでしょう。細かい連携プレイが小気味良いです。
3曲目(Humphrey)は軽快なスゥイング。決して圧倒的というわけではありませんが、いつまで聴いても飽きのこない、こなれたGreenのアドリブが堪能できます。
4曲目(Bu's March)はちょうどこのアルバム録音前後に亡くなったArt
Blakeyに捧げたマーチ。「Blues March」のパロディですね。Carl
AllenがBlakeyお得意のキメのドラムロールで楽しませてくれます。もちろんBenny
GreenもBobby Timmonsばりのピアノで盛り上げます。Bobby
Timmonsに引けを取らずパワフルですが、もう少し端正な印象ですね。
5曲目(Beautiful Moons Ago)はNat King
Coleの曲。4曲目とは一転して瑞々しいバラッドです。それにしてもこの曲、美しいサビです。
アルバムタイトル曲である6曲目(Testifyin')は、浮き立つような、それでいてちょっとしたほろ苦さも感じさせるブルースワルツです。堅実なCarl
Allenのサポートが光ります。ここではChristian
McBrideのベースソロをフューチュア。抜群に安定したソロが楽しめます。
7曲目(Carl's Blues)はタイトルどおりCarl
Allen作曲のブルース。ビバップを感じさせるメロディラインがいい感じです。Benny
Greenもひたすらバップのラインで押していきます。たくさんの引用フレーズが聴こえては消えていきます。Christian
McBrideの確かなラインに改めて感激。
8曲目(Down By The Riverside)は有名なトラッドソング。力強いハーモニーが印象的です。幼少から親しんでいたであろうこの曲を、Benny
Greenは実に楽しげに弾き心から唄っているようです。緩急つけたアレンジもいいですね。
9曲目(I Should Care)はソロプレイ。若さを感じる、饒舌だけど誠実なアドリブです。
10曲目(The Shiek Of Araby)もスタンダード。とても古い曲だったと思います。8曲目(Down
By The Riverside)といい、かなり古めの曲が好きなんですね。テーマアレンジはほとんどドラムソロです。McBrideのソロのあとようやく始まる4ビートに乗ったGreenのアドリブ。いつまでも続く心地よいメロディに身をゆだねる快感が広がります。
11曲目(McThing)はChristian McBrideのオリジナル。Call
& Responseの効いたメロディがとても効果的です。McBrideのソロはもちろん、続くGreenのソロもMcBrideに触発されたのでしょう、大いにノッています。近くで聴きたかった!駆け抜けるような曲です。
12曲目(Billy Boy)は「Milestones / Miles
Davis」でRed Garlandがトリオで演奏した「あの」アレンジがそのまま使われています。一糸乱れず、一体となって疾走するトリオ。速い、速い。そのアドリブラインは、間違いなくBud
Powellの影を感じさつつ、さらに前向きなエネルギーを見せてくれます。
ジャズの楽しさが感じられるアルバム。ひたむきで前向きな若さを感じるすがすがしい秀作です。
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