BLUESNIK
Nica's Dream / Horace SilverChode Changes
ハード・バップの円熟期に誕生した「ニカの夢」は、ホレス・シルヴァーの代表曲です。哀愁ただようメロディがすばらしく、まさにハード・バップの名曲といえると思います。 リズムはミディアムで、テーマがラテンでサビが4ビート。テーマのメロディはロングトーンと適度なシンコペーションを用いた美しいもの。サビもまた美しく、歌詞がつきそうなメロディです。また、メロディラインがコードの中で絶妙なテンションとなっており、その点もこの曲が名曲である所以でしょう。 テーマの進行はAABA形式。キーはBbマイナー。コード進行は「A」の前半で、BbmとAbmの繰り返しになっているところが特徴。「コパカパーナ」などラテンの曲によく見られるパターンですね。AbmはおそらくEbの代理コードだと思います。BbmのところのロングトーンはC。これは9度の音です。AbmのところのロングトーンはF。これは6度の音。どちらも適度なテンションノートになっており、この辺りにどこか品のいい、センスの良さを感じます。これはホレス・シルヴァーの曲全般にいえることですね。 「A」後半はAbm7-Db7-Gbと続くのですが、GbのあとC7に行くところがにくいですね。C7はGbの裏コードです。そしてC7−(Cm7-5)F7−Bbmという流れで解決。お見事です。 サビ(B)はキーがDbに転調。これはBbの短3度上ですから、シャープやフラットを変えず、マイナーをメジャーに転調させているということになります。基本的にII-V-Iですが、8小節めのEbm7-A7が効果的ですね。この一小節だけDbの半音上のDに転調しており、ここだけ緊張感を出しています。 この曲は演奏例が少ないものの、ミュージシャンサイドからもに愛されてきたようです。グラント・グリーンはこの曲のコード進行をそのまま用いて「Green With Envy」という曲を作ったとのこと。 この曲にはバンドが似合います。メリハリを利かせてバンド全体で演奏したい曲ですね。 「Nica's Dream」の聴けるアルバム
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