BLUESNIK

The New Tradition (The Jackie McLean Quntet)


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Ad Lib 6601
  • It's You Or No One
  • Blue Doll
  • Little Melonae
  • The way You Look Tonight
  • Mood Malody
  • Lover Man
Octber21, 1955

Donald Byrd(tp),Jackie McLean(as),Mal Waldron(p),Doug Watkins(b),Ronald Tucker(ds)


 記念すべき初リーダーアルバムです。当時McLeanは24歳。通称「猫のマクリーン」として知られています。再発売としてはもっとマンガチックな、暗闇で猫とフクロウが同居しているジャケットがあり、こちらの方が有名かもしれません。

 1曲目(It's You Or No One)はKahnのスタンダード。McLeanはテーマでミストーンを出しながらも懸命なアドリブ。まだまだCharlie Parkerの影響を色濃く感じさせるビバップなアドリブです。続くDonald Byrdの方がややリラックスしているでしょうか。Mal Waldronのアドリブは結構はつらつとしていて悪くないですね。

 2曲目(Blue Doll)はBbのスローブルース。特にテーマ等は無いようです。ここでもMcLeanの唄いまわし、緩急の付け方、ニュアンスの付け方にCharlie Parkerの影響を感じます。ただしメロディは比較的独自のものが現れています。途中かなりきわどい、ミストーンすれすれの音も出てきますね。続くDonald Byrdはここでも落ち着いたアドリブで安心して聴けます。
 Dollとは、McLeanの奥さんDollyのこと。タイトルに'Doll'のつく曲は他にもあって、愛妻家であることが伺えます。

 3曲目(Little Melonae)はMcLeanの代表的なオリジナル。4つのドミナントコードで構成されている、という本人の発言が残っていますが、コード全盛時代の当時としては斬新な感覚の曲だったことでしょう。McLeanのアドリブはこの曲特有の浮遊感に乗って勢いづいたアドリブです。対称的にDonald Byrdはちょっと扱いかねているという感じですね。Mal Waldronはここでも地味ながらも味わい深いアドリブです。
 ちなみにMelonaeとは、McLeanの娘の名前です。

 4曲目(The way You Look Tonight)は「今宵の君は」という邦題で知られるスタンダード。冒頭からMcLeanとByrdの掛け合いが素晴らしい。猛烈なスピードです。この早さでも手癖に陥らず、新しい試みを行うMcLeanのアドリブには潔い若さが感じられます。Donald Byrdはここでも安定しています。毎晩のように演奏していたんでしょう。

 5曲目(Mood Malody)はタイトル通りMal Waldronのオリジナル。あまりセンス良く無いタイトルですね。マイナーなのかメジャーなのかよくわからない奇妙なコード進行です。McLeanはやや消化不良。ミディアムテンポで淡々と進みます。Malのアドリブが一番安定していて、この曲だけあたかもMalがリーダーのようですね。

 6曲目(Lover Man)はCharlie Parkerが演奏して有名になったスタンダード。後年よりも甘いトーンのバラード演奏です。ここではCharlie Parkerの影響がもろに感じられますが、特有の音遣いに個性が感じられます。

 期待の若手が当時の演奏曲を録音した、というアルバムです。みんな若かった。
 再発売のジャケットはこちら。画面上に丸いフクロウ、下にネコ。


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