McLeanとMcCoy Tynerの共演盤で意外にもアルバム上で初共演です。「One Night With Blue Note」をきっかけとした録音のようで、メンバーもMcCoy Tyner関連の人脈が多いようです。Marcus Millesとの共演が珍しい。実質はMcCoy Tynerのアルバムですね。
1曲目(Spur Of The Moment)はフュージョン風のテーマから疾走するキャッチーなオープニング。Jon Faddisがど派手なアドリブを見せてくれます。McLeanはかなり正当派。複雑なラインでなかなかのアドリブを聴かせてくれます。おそらくMcCoy Tynerのアドリブの触発されているんだと思います。それにしてもメンバーも曲調もまぎれもなくジャズなんですが、感覚がどこかフュージョン的です。時代のなせる技なんでしょうか。
2曲目(You Taught My Heart To Sing)はどこか感覚の新しいバラード。ただしアドリブでは強烈な個性を聴かせてくれます。バックのMarcus Millerはさすがに渋い泣けるラインを聴かせてくれます。これにも注目。
3曲目(It's About Time)はMiles Davisのそれとは全く違って、完全な当時の「都会派フュージョンサウンド」です。Marcus Millesのベース意外にとりたてて注目するところはないんですが、各人のメロディの端々に現れるBeBopの拭い切れない影が興味深くはあります。悪くはないですが、今は流行らないムードの曲ですね。
4曲目(Hip - Toe)はタイトル通りのバウンス曲。Boogie Woogieのリズムなんでしょうか。McLeanは結構乗ってアドリブしています。Jon Faddisはいつも通りのハイノートですが、よく聴くと結構まともです。
5曲目(Long-Time Lover)はRon Carterのベースをフューチュアした曲。作曲もCarterであり、彼らしい優雅なメロディの曲です。ピアノトリオによるバラード演奏。
6曲目(Travelin')はピアノトリオによる壮大な空間を感じさせる演奏。この感覚もこれまでのジャズにはなかったもので、フュージョン後を感じさせます。こちらもベースソロ。Marcus Millerですが、感覚が圧倒的に新しいですね。現在にも十分通じる質の高い演奏です。
メンバーからしても曲からしても純粋なジャズなんですが、どこか感覚の新しさを感じさせます。そして豪華メンバーはどことなくおとなしく感じたりします。しかし全くおとなしくなったわけではなくて、その気になればいつでもかつての情熱が表に出る、そんな確信も感じさせてくれるアルバムです。この時代に色濃くあった「ジャズ復活」を感じさせるアルバムです。 非常に個人的な思い出を許していただければ、このアルバムは私が大学入学大変影響を受けた先輩から借りて、よく聴いていたアルバムです。
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