うり二つのサックス奏者、John Jenkinsとの共演。実際、ぼうっと聴いているとどちらがどちらかわからなります。タイトルこそ名盤「Tenor Madness」と同じですが、本作はRollinsとColtraneのそれほど目立たないアルバムです。
1曲目(Alto Madness)はFのブルース。ソロはMcLeanからスタート。次がJenkins。後半はチェイスですが、お互いに試し合いというところでしょうか。あまり相手を挑発する感じはないですね。McLeanは独自のフレーズですが、Jenkinsはパーカーのフレーズが多いです。やや線が細いのがJenkins、ふてぶてしいのがMcLeanかな。
2曲目(Windy City)はI Got Rhythmのコード進行によるJohn Jenkinsのオリジナル。テーマからソロに入るとき二人で同じフレーズでブレイクするのですが、全くピッチが合っていないのが笑えます。 アドリブ始めはめまぐるしくソロを交換しつつ、Jenkinsのソロに落ち着きます。このソロも悪くはないですが、少しアイデアが切れ気味です。続くMcLeanは堂々としています。バックのArt Taylorも俄然勢いづきますね。McLeanのソロが終わる頃にはテンポが大分速くなっています。
3曲目(The Lady Is A Tramp)はスタンダード。テーマはMcLean。ソロはJenkinsから。デビュー当時のMcLeanにそっくりなソロを吹きます。続くMcLeanはメロディがメロディを呼ぶ、流れるアドリブです。中盤の安定感が抜群ですね。やはりアイディアが直接音になっているという点で、McLeanに一日の長がありそうです。
4曲目(Easy Living)はおなじみの美しいスタンダード。テーマ前半はMcLean。ちょっとピッチが怪しいですね...。サビがJenkins。ソロもMcLeanから。サビまでを豊かに彩ります。続くJenkinsはサビをソロというか、テーマをなぞってピアノへ。これはちょっと寂しいですね。
5曲目(Pondering)はJenkinsのオリジナル。何かのスタンダードを下敷きにしていますね。ソロはMcLeanが先発。そのソロはよく唄っていて、豪快・奔放にして歌心にあふれています。スタンダードを吹くMcLeanの魅力に溢れていますね。続くJenkinsはもう一つ流れに乗りきれていないと感じます。
どうしても勝敗を決めたくなるこのセッション、間違いなくMcLeanの勝ちでしょう。本人達はわかっていたと思います。 それにしてもこのセッションの後ジェンキンスはシーンの中心から消えますが、マクリーンは生き残りました。この時点でここまで似ていたことを思うと、考えさせられるものがあります。
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