マクリーンは1961〜62年にかけてKenny Dorhamとコンビを組んでいくつかのアルバムを残しており、これもその一枚。西海岸へのツアーに出た際のライブ盤です。ライブ盤らしく、ハードバップの枠内で当時のマクリーンが試行錯誤している様子がありありと伝わってきます。
1曲目(Us)は「Una Mas / Kenny Dorham」で演奏されたタイトル曲と同じ。このライブ盤が元のアレンジだったんでしょう。マクリーンのソロはこれまでの演奏から脱皮しようと、極力手癖を使わないように気をつけていることが伺えます。
2曲目(It Could Happen To You)はDorhamがフューチュアされたスタンダード。セッション風で、手馴れています。マクリーンは休み。
3曲目(Let's Face The Music)は「Swing,Swang,Swingin'」で演奏された「Let's Face The Music And
Dance」です。軽快なアップテンポに乗ってマクリーン節が冴えますが、今ひとつ突き抜けないものを感じます。「これまでのメロディじゃない、もっと違うものを」というマクリーンの気持ちが聴こえるようです。今度はDorhamが休み。
4曲目(No Two People)はミディアムテンポでじっくりと聴かせる小唄です。目立たない曲ですが、マクリーンのソロとしては本アルバムのベストです。丁寧に、しかし畳み掛けるように歌心ある魅力的なメロデイをつむいでいくマクリーンのソロにほれぼれします。
5曲目(Lover Man)はマクリーンをフューチュアしたバラード。凝ったリズムで飽きさせません。マクリーンのアドリブもアグレッシブで、この曲にかける勢いが伝わってきます。大変な緊張感です。きっと現場にいたら、目を離せなかったんじゃないでしょうか。
6曲目(San Francisco Beat)はリラックスしたブルース。おそらく終演のテーマソングだったんじゃないでしょうか。テーマのあと、メンバー紹介の声が聞こえてくるようです。Dorhamのソロは肩に力の入らないもの。マクリーンのソロは...この時期、どんな曲を演奏してもつい熱くなってしまうようです。
当時中堅の即席ツアーといったところでしょうか。バンドらしさは感じず、多分にセッション的な面は否めませんが、「Let Freedom Ring」への飛躍に至る日常を切り取ったアルバムとして、貴重です。後半にかけて段々良くなっていきます。
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