BLUESNIK

Rites Of Passage


>>back - Discography
>>back - Chronology
>>back - Players

Triloka
  • A Calling
  • My Lady(Portrait Of Doll)
  • Destiny's Romance
  • Cyclical
  • Morning Prayer
  • Rites Of Passage
  • Naima's Tone Poem
  • Firesign
  • Yesterday's Blues Tommorow
  • Rendezvous In Congo Square

January29,30, 1991

Jackie McLean(as),Rene McLean(ts,ss),Hotep Idris Galeta(p),Nat Reeves(b),Carl Allen(ds)


 自己のグループでのレコーディング。全曲メンバーのオリジナルで固められた気合を感じさせる一枚。
 息子のRene McLeanは、際立って目立つわけではありませんが全編でよく考えられた渋いフレーズを聴かせてくれます。

 1曲目(A Calling)はコード一発を主体にしたMcLeanのオリジナル曲。テーマから縦横に吹きまくるMcLeanが強烈。耳に残ります。若い頃とは違う少しひしゃげた音色が特徴的です。Reneは質の高いアドリブ。Hotep Idris Galetaも躍動感あふれ、エネルギーに満ちた一曲目です。

 2曲目(My Lady(Portrait Of Doll))はMcLeanオリジナル。頻繁にテンポの変わる、難しそうな曲です。McLeanのアドリブはその複雑なテンポの中を巧みにつないでいきます。悪くありませんが、やや荒いかもしれません。
 どうでもいいですが、親父が母親に捧げる曲を演奏する息子も何かと複雑かもしれません。

 3曲目(Destiny's Romance)はRene McLeanのオリジナル。8ビートの響きが新鮮で、正に現代ジャズの感覚です。いい曲を書きますね。続いてソプラノで繰り広げるReneのアドリブも良し。McLeanがこれにどう立ち向かうのか興味がありますが、何ら不安もなくばっちり適応。サプライズはありませんが、水準以上でこなしています。

 4曲目(Cyclical)は急速調のFブルース。それでも感覚は50年代や60年代のものではなくて現代のものですね。バックのミュージシャンのなせる技でしょうか。

 5曲目(Morning Prayer)はMcLeanは一休み。Rene McLeanのカルテットで演奏されます。

 6曲目(Rites Of Passage)はハードボイルドなオリジナル。テーマのMcLean親子、ピッチが全然合っていませんね。気にはならないので良いのですが。Rene McLeanはテナーでラテンと4ビートがテンポまで複雑に変えて交錯する曲の中で、ハードに吹き切ります。McLeanも負けずハードですが、こちらはより熱くエキサイトしていますね。まだまだガキには負けんぞ、というところでしょうか。濃密な時間を過ごすことができます。

 7曲目(Naima's Tone Poem)はワルツでMcLean親子のアルトバトルが聴きもの。この親子、スタイルが全く違いますがこってり感は遺伝しているようです。McLeanのアドリブはぎゅっと濃い中身が詰ったもの。聴いている方に力が入りそうなアドリブで。Rene McLeanはやや軽いですが、提示する豊かな世界が気持ち良い。

 8曲目(Firesign)は切迫感あるRene McLeanのオリジナル。Rene McLeanのアドリブは文字通りハードそのもの。押し迫るようです。McLeanのアドリブは音域を上から下まで、とにかく吹ききる、という姿勢。ところでこの曲の間、ちょっとNat Reevesのピッチが怪しいですね。

 9曲目(Yesterday's Blues Tommorow)はリラックスしたBbのブルース。途中に倍テンポなどあってちょっとひねりもあります。McLeanは往年のフレーズをびしびし聴かせてくれますね。Rene McLeanは確かな正当派の音色がここでも魅力。倍テンポになってからは色々なテナーマンの影響を感じさせますが、伝統を色濃く感じさせるスタイルです。

 10曲目(Rendezvous In Congo Square)はまたしてもラテンと4ビート、複雑なキメが絡む曲。最後まで圧倒的なエネルギーを前面に押し出してきます。McLeanは豪快な中にも落ちついた節回し。かなり複雑ですが、そう感じさせませんね。

 何よりもこのアルバムは、親父McLeanのフレーズですね。音色は若い頃に比べてひしゃげてより肉声に近くなっており、強烈な個性を感じます。また、語彙が圧倒的に増えており、昔からの哀愁にあふれたフレーズと、80年代以降から聴かれるディミニッシュを主体にした複雑なフレーズがごく自然に同居しています。それにしてもメンバーの誰よりも若々しい!


>>back - Discography
>>back - Chronology
>>back - Players
inserted by FC2 system