BLUESNIK

Cool Struttin' / Sonny Clark


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Blue Note 1592
  • Cool Struttin'
  • Blue Minor
  • Sippin' At Bells
  • Deep Night

January 5, 1958

Art Farmer(tp),Jackie McLean(as),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)


 日本でこのアルバムを知らないジャズファンはもぐりとまで言われる、ハードバップを代表する超有名盤です。このアルバムをきっかけとしてジャズファンになった方も多いのではないでしょうか。

 1曲目(Cool Struttin')は私達がジャズと聴いて想像するイメージをそのまま曲にしたようなFのブルース。それくらい素晴らしい曲ということです。ブルーノートを効果的に使ったテーマのメロディも素晴らしければ、Sonny Clark、Art Farmer、Jackie McLeanと続くアドリブがすべて素晴らしい。三人がソロをとった後Clarkが再びソロ、そして短くソロを取るPaul Chambersと続く流れもセッション風で素敵です。あるいは本当に展開を考えないセッションだったのかも知れません。
 McLeanのソロは、一体何人のアルト奏者がコピーしたことでしょうか。それくらい有名なソロです。

 2曲目(Blue Minor)も名前の通りブルージーで切ない名曲。複雑なリフ、伸びやかなサビのコントラストがすばらしい。そして一曲目とのコントラストも素晴らしいものがあります。McLeanのアドリブはよく似たフレーズが何度か出てきますが、それらを感じさせない唄うアドリブを聴かせてくれます。難しいことはしていませんが、曲にぴったりのメロディを吹いています。続くArt Farmerも最後のコーラスまで良いメロディを聴かせてくれますね。Clarkも悪かろうはずがありません。

 3曲目(Sippin' At Bells)はMiles DavisがCharlie ParkerのDial時代に作曲したアップテンポのブルース。複雑なテーマと細かく変わるコード進行がビバップ臭を感じさせます。安心して聴ける模範的なブルース演奏というところでしょうか。Clark、McLean共にソロはばっちり。McLeanはソロ全体の展開も素晴らしいものがあります。Art Farmerはやや手癖が目立ちますが、申し分ないソロです。
 全般に哀愁を感じる本アルバムの中で、程よい息抜き的な役割を果たしている曲です。

 4曲目(Deep Night)はRodgers - Hartのコンビによるスタンダード。変形ブルースのような、不思議なムードの曲です。私はこのアルバムでしか知りません。この曲の場合、ピアノだけで綴られるテーマが素晴らしいですね。アルバムラストの余韻として最高です。

 このアルバムは発売当初から日本でとてもウケが良かったようです。アルバム全編からそことない哀切の影を感じますが、その辺りが受けた要因だったのでしょう。アルバムの展開としても素晴らしいものがあると思います。哀愁あるミディアムの一曲目、アップテンポの二曲目、さらにアップテンポでしかもブルースから少し離れた三曲目、ピアノ主導で締めを飾る四曲目。起承転結が効いています。これらをすべて含めて、お祭りの終わり、とでも例えたい後ろ髪を惹かれる切なさがこのアルバムには確かにありますね。さらにジャケットも良し、ときています。正直、欠点が見当たらないアルバムです。
 なお、輸入版CDには「Royal Flash」「Lover」が追加されています。これらの曲は「Complete Cool Struttin' Session / Sonny Clark」でも聴くことができます。両曲とも素晴らしい出来なのですが、アルバムを一つの作品として捉えるとちょっとムードが明るく、収録時間と併せてこの辺りが未収録になった原因かと想像します。


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