マクリーンは、1957年に当時17歳のチューバ奏者Ray
Draperと集中的に吹き込みを行っており、これもその一枚。正直、あまり覇気のある演奏集ではなく、聴き所はマクリーンのみと言って過言ではないでしょう。マイナー調が多いのも特徴です。
1曲目(Terry Anne)はビバップ風のブルース。なかなか面白いコード進行ですが、Ray
Draperのアドリブはそれを活かしきれていないようです。続くWebster
Youngはなかなか手堅いですね。マクリーンのアドリブが一番華があり、聴かせます。Mal
Waldronもここではまぁまぁ。アルバムではこの曲が一番です。
2曲目(You're My Thrill)はスタンダードのようです。テーマを吹くWebster
Youngは悪くありません。彼はミドルテンポのスタンダードが似合うようです。kenny
DorhamのQuiet Kennyのようなワンホーンアルバムがあれば聴いてみたい気がします。Draperのソロは今ひとつ。というか、バラードでTubaにソロをやらせてはいけません。満を持して登場するマクリーンはやはり説得力が違います。
3曲目(Pivot)は、何かのスタンダードを下敷きにした感のある、とりたてて特徴のない平凡な曲。どこかで聴いたな、と思ったらこのアルバムの10日前の「Two Guitars」セッションで演奏されていました。
マクリーンは愛妻家のようで、奥さんの名前「Dolly」のついた曲名をたくさん吹き込んでいます。4曲目(Jackie's
Dolly)はその一枚。ただし作曲はRay Draperです。タイトルどおり、マクリーンがフューチュアされます。Webster
Youngは手堅くはありますが、華がない。
5曲目(Mimi's Interlude)はマイナーの循環でしょうか。ミディアムファーストのアップテンポなんですが、今ひとつ盛り上がらない...。Mal
Waldronのバッキングが重いです。ドラムもほとんど盛り上げません。救いはマクリーンのアドリブのみ。Ray
Draperは、意欲は買いますが力不足が否めません。
6曲目(House Of Davis)はややエキゾチックなマイナー曲調。各人の単調なソロと4バース。残念ながらもう一つ突き抜けるものがありません。
Ray Draper名義になっていますが、実質はWebster
YoungとRay Draper売り出しのためのプレスティッジセッションでしょう。参加メンバーに思い入れがなければ購買する必要はないでしょう。このアルバムの曲・アドリブを知らなくてもジャズファンとして損はありません。
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