名古屋の実力派ジャズマンが結成したバンド「CUGジャズオーケストラ」のアルバムです。アレンジは主にピアノの水野が担当しています。
1曲目(Listen To My Blues)はバンドのテーマ曲であるブルース。リーダーの小濱さんの豪快なソロが幕開けです。
2曲目(On The Airport Line)は水野のオリジナル。大坂昌彦−原朋直クインテットの『def』でも演奏されている曲で、複雑なボサノバです。
3曲目(Scrapple From The Apple)はこのレパートリーでは珍しいビバップ。みなさんジャムセッションの達人なので、粋のいいソロです。アルトの横山さんのマクリーンばりのフレーズが快感。
4曲目(Blue Pepper)はDuke Ellingtonの豪快なブルース。鈴木さんのバリトンサックスが大活躍します。トロンボーンソロのバックで延々と続くベースラインの吹奏が圧巻です。
5曲目(In A Sentimental Mood)は小濱さんをフューチュアした演奏。美しく分厚いハーモニーに支えられて、ハードボイルドなソロが楽しめます。
6曲目(Summer Serenade)はBenny Carterのオリジナル。爽やかなテーマを持ったボサノバ。佳曲です。トランペットのJay Thomasをフューチュア。気持ちよく聴けます。
7曲目(Happy House)はOrnette Colemanの曲。ビッグバンドで演奏されるフリージャズは迫力満点です。Gil Evansのオケに似たテイストを感じます。集団で疾走する姿に本当の実力を感じます。岡崎好朗さんのトランペットが目立ってますね。
8曲目(A Dream Of Fifth)は太田さんのオリジナル。タイトルとはうらはらに、現代音楽的な響きを持った曲です。なかなか解釈が難しいですね。
9曲目(I Didn't Know What Time It Was)はおなじみのスタンダード。バリトンサックスの鈴木さんがフューチュアされます。ここでもツボを心得たアレンジに乗って、豊かな演奏が楽しめます。
10曲目(For Members Only)は水野のオリジナル。これまでの緊張感のある演奏に比べ、ややセッション的なリラックスした雰囲気です。後半のトランペットバトルで俄然盛り上がります。
11曲目(Searcher)はここまでの曲とは違い、ややシャッフル気味のビートが新鮮です。水野のピアノをフューチュア。リラックスできる好演奏です。
大手の流通ルートには乗りにくいので名古屋周辺の方以外は聴く機会が少ないとは思いますが、一聴に値する作品です。
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