- The Tob
- Antiquity
- The Hump
- The Slaveship
- The Hunter And His Game
- The Crossing
- Gong Golye
- Ti Ti
- Down In The Bottom
- Dei Comahlee Ah
August 16 ,1974
Jackie McLean(as,temp blocks,bells,bamboo flute,voice,kalimba,p,perc),Michael Carvin(ds,temple blocks,bells,bamboo flute,voice,kalimba,perc)
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マクリーンのアルバムの中では最も過激な一枚に入るでしょう。マイケル・カーヴィンとのデュオ・アルバムです。ピアノとのデュオはいくつかありますが、パーカッションとのデュオはこれ一枚。サックス以外の楽器を演奏しているのもこの一枚のみです。
1曲目(The Tob)はいわゆるフリージャズのセオリーによる演奏。マクリーンは一つのモチーフを執拗に繰り返しますが、散漫な印象です。
2曲め(Antiquity)は組曲仕立て。奴隷制度をモチーフにしています。マクリーンが思想を演奏に持ち込むことは大変珍しいです。テーマらしいテーマはほとんどありませんが、流れるサウンドはなかなか聴きやすいです。
3曲目(Gong Golye)はひたすらヴォーカルが繰り返される曲。幕間といった風情。短いです。
4曲目(Ti Ti)はアフリカの民族的な色彩の強い曲。未開民族の詠歌のようなヴォーカルと、単調なパーカッション・竹笛で構成されています。
5曲目(Down In The Bottom)ははっきりしたテーマメロディがあります。これはなかなか魅力的なテーマです。哀愁ある曲調が「A Ghetto Lullaby」のタイトル曲に似ていますね。デュオではなくベース・ピアノ入りで聴きたかった一曲。
6曲目(Dei Comahlee Ah)はアフリカ部族の儀式音楽のようですね。結構楽しいです。バックはドラムですが、パーカッションのみの方が良かったかな。マクリーンのアルトは後半で出てきますが、いつも通りのアドリブであまりアフリカぽくないですね。
管楽器よりもカラフルなパーカッションの方が印象に残ります。残念ながら残念ながらマクリーンのアルトの出番は少なく、「彼でなければ作れないアルバム」とは言えないかと思います。まぁ、自由にアルバムを作れる環境にあったことを幸いに、興味のあるジャンルで実験的なサウンドを試してみたというところでしょう。こういう民族的な音楽をモチーフにすることで、逆にマクリーンには民族的なエッセンスが希薄であることが浮き彫りになった格好です。
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