タイトル通りのブルース集。Freddie Hubbardとの初共演で、マクリーンがハードバッパーとして残した数ある名盤の一枚です。Freddie Hubbardの参加でそれまでのハードバップからやや抜け出す感が強くなっています。Doug Watkinsの参加が嬉しい。
1曲目(Bluesnik)はBbのアップテンポのブルース。実に単純なリフ・ブルースです。おそらくその場で考えられたのでしょう。Pete LaRocaのドラムに煽られて突っ走るマクリーンの音が素晴らしい。展開など考えずに突っ走る姿にほれぼれします。これまでのビバップ的な節回しから変化しつつある唄い方が感じられます。絶妙なフレーズでFreddie Hubbardにタッチする瞬間が最高にカッコいいですね。Hubbardはやや堅いですが、紛れもなく新しい感覚のアドリブを聴かせてくれます。
続く2曲目(Goin' Way Blues)は8/12小節単位というか、三連符主体の、ジャズの中ではアーシーなブルース。マクリーンはやや風味が軽いものの、ブルーノートを使った手本のようなアドリブを聴かせてくれます。
3曲目(Drew's Blues)はタイトルそのままにKenny Drew作曲のFブルース。途中に入るブレイクが曲のアクセントになっています。ここでは、マクリーンはアウトまでは行かないまでもブルースの定石からはやや離れた浮遊感あるフレーズにチャレンジしています。この時点でどこまでブルースから離れられるか、試しているようです。作曲者Drewのメロディは極めてリラックスしつつも、アグレッシブなものです。
4曲目(Cool Green)もKenny Drewの曲。これはマイナーブルースです。色々と手を変え品を変え、飽きさせないようにしていますね。マクリーンのアドリブは期待通りのマイナー節。マクリーンはマイナーブルースが少ないので、これは結構貴重です。曲そのものは美しいメロディで、一聴しただけではブルースとはわからないかもしれません。
5曲目(Blue Function)はFreddie Hubbardの曲。極めてオーソドックスなFブルースです。この頃はまだ作曲に慣れていなかったのでしょうか。ソロの先発はHubbardから。新鮮なフレーズを織りなします。続くマクリーンはきつい癖のあるメロディでぐいぐいと聴き手を惹きつけます。良くも悪くも強烈な個性に耳が離せなくなってきます。
ラストの6曲目(Torchin')はKenny Drewの曲。通常のブルースとは違い、ややスタンダード的な風味を加えたコード進行に変形しています。ソロ先発はマクリーンからですが、何だかソロの勢いに乗ってどんどんテンポが走っているような気がします。ラスト曲ということで、挿入歌のテイストを感じますね。
ブルース集ということで中だるみを気にされる方もいるかもしれませんが、名盤の名前は伊達じゃない、ジャズ好きには文句無く勧められる一枚です。余談ですが、タイトル曲「Bluesnik」は「Hat Trik」でも再演されています。
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