McLeanがブルーノートでハードバップ路線を邁進していた頃のアルバム。一聴するとオーソドックスなアルバムですが、聴きこむうちに徐々に新しい試みを取り入れていることがわかると思います。Jackie's Bagで抜群の相性を見せたBlue Mitchellの参加のほか、Prestige時代に数多く共演したArt Taylorの参加が注目されます。
1曲目(Francisco)はラテンリズムを取り入れたFのブルース。快調な滑り出しです。McLeanのソロはもちろんのことですが、この曲ではPaul Chambersが印象的なリズムパターン、そしてアルコソロを聴かせてくれます。このアルコソロ、「Milestones / Miles Davis」に収録された「Dr.Jekyll」に良く似ています。そういえばこの曲もMcLean作曲でした。
2曲目(Just For Now)はWalter Bishop Jr.の作曲。ちょっと切ない曲調のなかで、リラックスしたアドリブが堪能できます。一曲目と良いコントラストになっています。ここでもPaul Chambersのソロが光ります。McLeanの信頼が伺えますね。
3曲目(Don't Blame Me)は有名なスタンダード。ミディアムスィングのアレンジが粋ですね。ピアノによるテーマのあとそのままピアノがソロ、そしてベースソロに...あれ、McLeanは?そう、ピアノトリオでの演奏です。中身は極めて王道。想像通りの素晴らしい「Don't Blame Me」が堪能できます。これはこれで素晴らしいんですが、せっかくだからMcLeanにソロ吹いて欲しかったなぁ。
4曲目(Condition Blue)はソロ大丈夫か、と心配になるタイトルのBbブルースです。ひっかけのあるテーマが印象的。Blue Mitchellのソロはやや小粒ですが、巧みの技が飽きさせません。 簡単な引っ掛けでMcLeanにソロが交代。ホールトーンフレーズを印象的に使ったアドリブ。インとアウトのバランスを考えたソロで、ちょっと危ういハーモニーのあとのジャストな決めフレーズがばっちり決まっています。
5曲目(Capuchin Swing)はラテンリズムとブレイク、そして4ビートが絡み合うユニークなテーマです。Star Eyesと同じコード進行。McLeanはめまぐるしく変わるバックのリズムに機敏に反応し、その場のイメージを大切にしたアドリブです。
6曲目(On The Lion)はWaltrer Bishop Jr.によるオリジナル。特徴である哀愁ある曲調がここでも生きています。作曲者のBishop Jr.に続きMcLeanのはつらつとしたソロの迷いの無いこと。地味ですが、ハードバップ黄金期を彩る名曲の一つでしょう。この曲はアルバムラストであっという間に終わるのですが、それがまた余韻を残します。
有名な話ですが、「Francisco」はカバージャケットを撮影し、Alfred Lionと共にBlue Noteの経営者だったFrancis Wolffに、「On The Lion」はもちろんプロデューサーでBlue NoteオーナーのAlfred Lionにそれぞれちなんでいます。これはMcLeanがそれだけこのレーベルを愛していたことの証のような気がします。 珍しいタイトル「Capuchin」はジャケット写真に写るサルの名前とのこと。カプチンと発音するようです。英語圏の綴りでは無いように思えますが、実際は何語なんでしょうか。
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