BLUESNIK

The Music Of "The Connection"/Freddie Redd


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Blue Note4027 TOCJ4027

  • Who Killed Cock Robin
  • Wigglin'
  • Music Forever
  • Time To Smile
  • Theme For Sister-Salvation
  • Jim Dunn's Dilemma
  • O.D.

February 15, 1960

Jackie McLean(as),Freddie Redd(p),Michael Mattos(b),Larry Ritchie(ds)


 Freddie Reddが舞台演劇「The Connection」のために作った曲をまとめたもの。Freddie ReddやMcLeanも出演したこの劇は麻薬患者の生態を描いたもので映像作品も残っており、若き日のMcLeanの姿を捉えた唯一の映像としてとても貴重です。

 1曲目(Who Killed Cock Robin)は躍動感あふれるハードバップ。ストップタイムと魅力的なメロディがアップテンポの中で交差する名曲。マクリーンは小気味良いフレーズを重ねてドライブ感一杯のアドリブです。
 タイトルの由来は、「テーマメロディがそう聞こえるから」だそうですが、さてどこでしょう?僕はAABAのBの部分、サビの頭のメロディだと思うのですが皆さんはどう思いますか。

 2曲目(Wigglin')はブルース。マイナーとメジャーが交互に出る構成のようで、その辺りのカラーの変わりどころが聴き所。McLeanはリラックスしたアドリブで、曲調に馴染んでいます。これも哀愁ただよう素晴らしいメロディです。劇中では麻薬におぼれた男のリクエストで演奏されます。

 3曲目(Music Forever)は再びアップテンポでの演奏。一部分Confirmationとも重なるコード進行で、McLeanは吹きやすそうですね。アドリブも快調。Freddie Reddもいいアドリブを聴かせます。劇中では、挫折したミュージシャンくずれのジャンキーをなだめる場面で演奏されます。

 4曲目(Time To Smile)はParkerの作曲したMy Little Suede Shoesと似ており、McLeanもフレーズを引用しています。テンポも似ており、アドリブも想像されるとおりリラックス。劇中では麻薬におぼれたミュージシャンたちのバックで演奏されます。そう考えると皮肉なタイトルですね。

 5曲目(Theme For Sister-Salvation)はバラード風のマーチ。哀愁というよりも哀切あるメロディが印象的です。McLeanはこうした曲は得意とするところで、ここでも確実に曲にプラスαの要素を打ち出している、と感じます。劇中では麻薬患者たちの部屋に偶然連れてこられた慈悲深いSister-Salvationの語りの場面で演奏されます。彼女はジャンキーばかり現れる映画に深みを出しています。

 6曲目(Jim Dunn's Dilemma)は追い詰められた曲調が印象に残るアップテンポの曲。McLeanのアドリブは本アルバム中一番の出来で、一部アウトなメロディも駆使して抜群の出来。めまぐるしく変化するバックのアレンジの中で見事に吹ききっています。続くFreddie Reddは、他の曲ではアドリブのアイディアが追いつかないところがありますがこの曲ではそういうことも感じられず良い出来です。劇中では麻薬を打って呆然とするJim Dunnのバックで演奏されます。

 7曲目(O.D.)は比較的オーソドックスなAABA構成の曲。McLeanのアドリブは残念ながらややネタ不足気味で、あまり良いとは思えません。このアルバム唯一の凡演ですね。続くFreddie Reddはなかなか。劇中ではラストで麻薬を摂取しぎるジャンキーのバックで演奏されます。タイトルは「過剰摂取」の意味とのこと。

 McLeanにとっては油の乗った時期の演奏。フレーズ、音色のハリともに悪かろうはずがなく、未聴の方にはお奨めの一枚です。
 このアルバム一作で忘れられないピアニストとなったFreddie Reddの作曲の才を堪能できるアルバムとしても貴重です。


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