BLUESNIK

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Blue Note 4165
  • Love And Hate
  • Esoteric
  • Kahlil The Prophet
  • Riff Raff

September 20, 1963

Grachan Moncur III(tb),Jackie McLean(as),Bobby Hutcherson(vib),Larry Ridley(b),Roy Haynes(ds)


 「One Step Beyond」の延長線上にあるサウンド。メンバーもフロント陣は同じです。

 1曲め(Love And Hate)は「One Step Beyond」に収録された「Ghost Town」とイメージ・アレンジ共に酷似しています。こうした曲は演奏者のイマジネーション勝負になりますが、メンバーいずれもやや苦しそうです。

 2曲め(Esoteric)はトリッキーなリズムが特徴の曲。McLeanは目まぐるしく変わるリズムの中で悪くないアドリブを行いますが、ハーモニーの変化がつきにくい編成なので、もう少しリズムの煽りが欲しかったところ。せっかくMcLeanが盛り上げてもストップタイムのところでは浮いてしまう感じがします。作曲者でもあるMoncurIIIの方がアレンジを上手く利用していると言えそうです。いずれにせよアレンジに縛られた感はあります。

 3曲め(Kahlil The Prophet)はアップテンポのモード曲。McLeanのモード演奏は完成の域に達しており、安心してフレーズの波に身をゆだねることができます。コードともモードともつかない、絶妙なバランスのアドリブフレーズが魅力です。Moncur IIIはこうしたアップテンポではどうしてもやや苦しいですね。Hutchersonは小気味良いフレーズを連発します。キーの変わり目でのメロディの切れ味が、実に鮮やかです。

 4曲め(Riff Raff)はDmのグルービーなブルース。McLeanも難しいことは忘れて、もろハードバップ路線で吹いています。Moncur IIIも同様。複雑なことはしませんが、コードのツボを押さえたフレーズですね。Hutchersonはこういうグルーブ感ある曲だと普段はほとんど見えないMilt Jacksonの影がほんの少しだけちらつきます。逆に違いが際立つ、とも感じますね。

 冒頭にも書いたように、「One Step Beyond」とアルバムコンセプトは同じと見て良いでしょう。ただ、アルバムとしての統一感、アドリブの勢いの面で「One Step Beyond」に一歩及ばないのは確かです。これが本アルバムが今一つ有名で無い原因ではないでしょうか。
 しかし、それはこのアルバムの価値がないことを示すわけではありません。曲別に考えると、特に後半は十分楽しめるアルバムだと言って良いのではないでしょうか。


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