BLUESNIK

Fuego / Donald Byrd


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Blue Note 4026
  • Fuego
  • Bup A Loup
  • Funky Mama
  • Low Life
  • Lament
  • Amen

October 4, 1959

Donald Byrd(tp),Jackie McLean(as),Duke Pearson(p),Doug Watkins(b),Lex Humphries(ds)


 Donald Byrdがハードバップ全盛期に残したアルバム。McLeanはByrdの昔からの友人として、サイドマンとしてフロントに立ちます。全曲Donald Byrdの作曲によるもので、ハードバップの構成を守りつつ後年のファンキー節も垣間見られるお徳なアルバム。

 タイトル曲である1曲目(Fuego)は少ないコード進行で台風のような吹きつけるムードを持つ曲。Byrdは比較的おとなしいのですが、引き継いでソロをとるMcLeanはかなり口数が多い。特にByrdと入れ替わりのところ、カッコいいですね。

 2曲目(Bup A Loup)はストップタイムを多用したアップテンポのオリジナル。タイトル通り繰り返しのテーマがカッコいい。出だしのMcLeanも満点ですね。続くソロも全編実に充実しています。Duke Pearsonに続いてソロを取るByrdはここぞとばかりのファンキー節です。面目躍如ですね。ソロからテーマに戻る部分も良し。図ったよう、とは正にこのことです。いい曲ですね。

 3曲目(Funky Mama)はタイトルからも予想が付くとおり、アーシーなブルース。このメンバーなので、そう真っ黒というわけではなく、どことなく知的でしかもファンキー、というブルースが味わえます。テーマはなく、Duke Pearsonからソロ。McLeanは音色で聴かせるソロ。三コーラスめ辺りから徐々にフレーズは熱を帯びてきます。途中倍テンポになるところが良いですね。再びDuke Pearsonがバンドの呼吸を整えて、Byrdのソロ。ハードバッパーでかつファンキー、という特性をじっくりと出しつつ、堂々としたソロです。三連譜の連発がカッコいい!

 4曲目(Low Life)はブルースマーチ風のオリジナルマーチ。残念ながらMcLean、Byrdともに決して悪くはありませんが、水準程度のソロ。弾けるまでには至っていません。曲が良いだけにこれは少し残念。

 J.J.Johnsonの有名なオリジナルと同名異曲の5曲目(Lament)はメランコリーでモダンな風味を感じるオリジナル。テーマ部分、控えめなハモリが何とも言えない情感をかもし出しています。Byrdは空間を大きく取ってこの曲のムードを損なわないソロ。引き継ぐMcLeanはややブルースの色合いの濃いソロで、ムードを引き継ぎつつ上手く別の局面を出しています。Duke Pearsonも良いソロ。決して目立つ曲ではありませんが、優れたテイクだと思います。

 6曲目(Amen)は教会のゴスペル風のコール&レスポンスを使用したナンバー。細かい理屈抜きに楽しめる曲です。ソロの間続くバックのアレンジがいいですね。Byrdは乗っています。McLeanも普段はあまりこういう曲はやらないのですが、ここでは難しいことを考えずに楽しんでいるようです。

 全体にゴスペル色が目立つアルバム。Byrdは後年ファンキーなアルバムを連発しますが、これはその萌芽とも言えるアルバムです。素直にハードバップ〜ファンキーを楽しめる一枚と言えるでしょう。


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