充実の一枚。バックがHerbie HancockとRoy Haynesということで、煽りまくりです。ついついフロントのメロディよりも伴奏に耳が行ってしまいますね。特にHancockはMiles Davisの「Four and More」「My Funny Valentine」の時期であり、若さがみなぎっています。私のオーディオのせいなのか、ややベースがオフ気味に思えます。これが難点。
1曲目(Cancellation)からモードで飛ばします。Charles Tolliverの自作。ややスカスカなテーマですが、ソロは充実。McLeanのソロではミステリアスなHerbie Hancockのバッキングが際立ちます。サイドマンとして職人技を繰り出しますね。非常に良いです。徐々にHancockにのせられるMcLean。Charles Tolliverのアドリブでは、Hancockのバッキングが完全にTolliverを食ってしまいます。Tolliver、作曲者なのに大丈夫なんでしょうか。三番手のHancockは、沸き出るフレーズが止まらない、という具合です。
2曲目(Das' Dat)はその後「Live At Montmartre」でも演奏されるBbBlues。McLeanは結構軽快なテーマのブルースをいくつか作曲しており、これもその一曲。McLeanのアドリブはミディアムテンポに乗った非常にオーソドックスなもの。意識的なのかどうか、あまり難しいことはやっていません。Tolliverも同様なのですが、Hancockだけはこのオーソドックスな枠組の中でもどことなく尖がっています。
3曲目(It's Time)マイナー調のハードボイルドな曲。McLeanはやや消化不良。Hancockが盛り上げようとしてくれますが、今一つ弾けきれない、というところです。続くCharles Tolliverも同様。なかなかいいですが、Herbieのフレーズの豊かさには適いません。
4曲目(Revillot)複雑なテーマを持つCharles Tolliverの佳曲です。ワルツですね。繰り返しの少ないコードでできている曲のようです。Charles Tolliverは短いフレーズを積み重ねて、アドリブを形作っていきます。McLeanはメロディアスに責めようとしているようですが、やや種不足気味。同じマイナー解決フレーズを連発しています。この曲に関してはCharles Tolliverの方が良いです。Herbie Hancockはもっと良いですね。
5曲目('Snuff)もモード。でもちょっとWell,You Needn'tに似てる?魅力的なテーマです。McLeanは本調子では無いようですが、やや取り戻してまずまずのアドリブです。Charles TolliverとHerbie Hancockはさらにそれを補って余りある演奏をしてくれます。
6曲目(Truth)はバラッド。McLeanの出番はごく少なく、Charles Tolliverに華を持たせています。
ジャケットのデザインも非常に決まっています。現代でもなかなかこれを超えるデザインは無いのでは。レベルの高いBlue Noteのジャケット中でも屈指のセンスの良さですね。
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