BLUESNIK

Live At Montmartre


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Steeplechase VACE1005
  • Smile
  • Das Dat
  • Parker's Mood
  • Confirmation
  • Closing

August 8, 1972

Jackie McLean(as),Kennw Drew(p),Bo Stief(b),Alex Riel(ds)


 「Demon's Dance」から5年ぶりのアルバムです。レコーディングは突発的に行われたようで、普段のMcLeanはアルバムごとにコンセプトを決めた録音をするタイプなんですが、ここでは歌もの1曲とブルース2曲とバップスタンダード1曲という内容でまるきりPrestigeのジャムセッションみたいです。PrestigeよりもSteeple Chaseの方が好感が持てるのはなぜでしょうね。

 1曲目(Smile)はCharlie Chaplinの名曲。「Matador/Kenny Dorham」で演奏されていますが、復活一曲目というのが何とも象徴的です。ひたすら熱いアドリブ。久しぶりのレコーディングで、スタイルがやや古く、50年代風のフレーズになっています。

 2曲目(Das Dat)は「It's Time」で演奏されたBbのブルース。McLean本人は前半はやや前衛的ですが、後半は比較的オーソドックスなバップスタイルで演奏。恐らくAlex Rielのドラムに引きずられたのでしょう。かなり豪快に吹いています。

 3曲目(Parker's Mood)はCharlie Parkerの有名なブルースのバラード。かつて渡辺貞夫さんも演奏していました。この曲、冒頭のファンファーレだけがテーマであとはアドリブなんですが、パーカーがSavoyレーベルで演奏したマスターテイクの1コーラスめがあまりにも素晴らしいので、現在でもお決まりとして引用されています。McLeanのこの演奏も例外ではなく、Parkerの演奏のフェイクになっています。続くアドリブもParkerのアドリブの色を強く残しているものですね。Parker風味から徐々にMcLean風味のアドリブに変化していく様がとても面白く、美しい。長い演奏ですが、そういう観点で聴くと飽きることがありません。

 4曲目(Confirmation)はかの「4,5and6」以来の演奏。アドリブ内容も驚くほど似ている、どころか全く同じフレーズをわざと吹いたりしています。とにかく自らに科していた重荷を取り去り、ひたすらルーツであるBeBopを演奏する姿に圧倒されます。中身もライブならではのラフさはあるものの、アドリブフレーズの充実度から言えばあの「4,5and6」での演奏と比べて何ら劣ることはありません。

 5曲目(Closing)はMiles DavisやArt Blakeyのバンドで聴かれるあの「The Theme」のラストフレーズのこと。これ、ハードバッパーのお約束なんでしょうか。

 恐らくこのレコーディングでしばらく冷めていた気持ちが再燃して、翌年以降のアルバム群につながっていったのだと思います。何はともあれ異国でひたすら熱く吹くMcLean、それまで持っていた良くも悪くも「青年らしい」魅力に加え、男臭い魅力を感じます。
 一曲めが「Smile」、そしてParkerの曲を二曲演奏して復活とはいかにもMcLeanではありませんか。

 


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