好みの分かれるチューバ奏者レイ・ドレイパー参加のアルバム。セッション的な雰囲気が強いことやミドルテンポの曲が多いこともあり、Fat Jazzほど無茶な感じはしません。
1曲目(Flickers)はプレスティッジには珍しく凝ったアンサンブルの聴ける曲。難しそうな曲ですが、マクリーンはダブルタイムを駆使し、この当時の得意のフレイズで盛り上げます。ハードマンはちょっと危ういですが、何とかこなします。レイ・ドレイパーはモコモコとしたアドリブですね。コード進行に合っていることはわかりますが、良いか悪いかといわれれば、何だかよくわかりません。
2曲目(Help)はマイナーブルース。フロント3人が異なるメロディを奏でるテーマはなかなか。ここでもマクリーンはハードバップ全開のアドリブを聴かせてくれます。
3曲目(Minor Dream)はややラテン風味を交えた哀愁漂うナンバー。と言ってもそれほど強烈なラテンは感じませんが、まあまあの曲です。ドレイパー、アドリブはともかく作曲の才はありですね。ソロ先発はドレイパー。ややアップテンポで奮闘しますが、何しろアドリブのメロディがほとんどスィングしていないのがつらいところ。ハードマンは得意なジャンルなのか、かなり唄うアドリブです。マクリーンは問題なし。後半のフロント3人のバトルは聴きものです。余裕しゃくしゃくのマクリーン、小技を連発するハードマン、必死のドレイパー。
4曲目(Beau Jack)は何だかやたらとリラックスしているブルース。各人が手持ちのフレイズをいかんなく発揮します。ドレイパーが抜けて見通しが良くなっています。
5曲目(Mirage)はマル・ウォルドロンのバラード。これはいいですね。この時期のバラードとしては上質の部類に入ると思います。バラードがラストのアルバムもいいですね。
凝り過ぎなければ決してゲテモノではないということを認識させられたチューバ入りのアルバムです。無難なセッションといったところです。でも多分売れなかっただろうなぁ。
|