TubaのRay Draper参加ということで、どうしてもキワモノ扱いされてしまうアルバムです。私もそうでしたが、実際に聴いてみると、ミディアムテンポでは悪くありません。
1曲目(Filide')はミディアムテンポのオリジナル。何かのスタンダードがベースにあるようですね。McLeanは伸び盛りの時期なので、安心して聴くことができます。Webster Youngはやや不安定感があるもまずまず。心配なDraperですが、意外に健闘。これくらいのテンポならなんとか、というところでしょうか。冒頭は何とかこなしました。
2曲目(Millie's Pad)はWebster Youngによるリフのブルース。この曲、ほとんど同じメンバーでStrange Bluesでも演奏されています。McLeanのアドリブは、珍しくリズム面でのアプローチもあったりして充実したものです。残念なのはリズムですね。せっかくフロントが盛り上げているのにピアノ、ドラムがおとなし過ぎます。Webster Youngは淡々と。この人、トツトツとした味がありますね。Draperも良くやっています。George Tuckerが短いソロを入れますが、これが悪くないです。
3曲目(Two Sons)はちょっとSonny Clark風の哀愁がかった結構魅力的な曲です。Ray Draper作曲。正当派ハードバップですね。McLeanのソロはそれこそCool Struttin'での「Blue Minor」の名演奏を思い起こさせるものです。Webster Youngも水を得た魚のように、はつらつとしたソロで良いですね。
4曲目(What Good Am I Without You)はこの当時の流行り曲なんでしょうか、唄ものです。メインのメロディをWebster Youngが、ソロはMcLeanが担当。McLeanのソロになるとピリリと演奏が引き締まるのは流石です。
Miles Davisのオリジナルである5曲目(Tune Up)はチューニングのように「A音」をピアノに合わせるところから始まります。よくわからないアレンジです。テンポは急速調。このMcLeanのソロが良いです。リズム隊も良し。ここだけBlue Noteのアルバムのようです、って変な誉め言葉ですね。Ray Draperはこのテンポになるともう無理ですね。ソロをとらせてはいけません。Webster YoungもMiles Davisばりの音色とフレーズです。得意曲だったのでしょうか。
それにしても売れなさそうなジャケットです。そもそもタイトルのFat Jazzって何の意味があるんでしょうね。Tubaがでかいからでしょうか。
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