3管編成ですが、いずれの曲もさほどアレンジには凝っていません。
ウィントン・ケリーとの共演が珍しく、もしかしてこれが唯一かも知れません。彼はプレスティッジ〜ブルーノートに在籍していないため、ハードバップを代表するピアニストの割にマクリーンとの接点が薄いプレイヤーです。
本作品に関してはマクリーンの影は薄いです。私見では、いなくてもさほどアルバムから感じる印象に変わりはなかったのではないかと思います。全般にアドリブに冴えがありません。当時関わっていた悪癖のために体調を崩していたのでしょうか?
マクリーンは、56・57年と59年以降は数え切れないレコーディングを重ねています。しかし、契約の関係かも知れませんが、58年の録音は公式には本作と「Cool
Struttin'/Sonny
Clark」のみ。方やキャリアを代表する名盤、方や影の薄い作品といえそうですが、両レコーディングには約11ヶ月の月日の差以上の開きを感じます。「Cool
Struttin'/Sonny
Clark」を録音した1月以降に体調を崩し、久しぶりに復帰した本作のプレイにその影響が及んだという想像もあながち的外れではないのかもしれません。
1曲目(Lover Come Back To
Me)はスタンダード。ものすごい急速調です。マクリーン、打つ手無し。(^^;;; ひたすら手癖に任せるしかなくなっています。マクリーンは早吹きは苦手ですが、ここまでアップアップするのは珍しい。ペッパー・アダムスが安定感あります。実力者ですね。
2曲目(When Your Lover Has
Gone)もスタンダード。ドナルド・バードがまったりと聴かせます。マクリーンは出番なし。
3曲目(Sudwest
Funk)はドナルド・バードお得意のファンキーで親しみやすいテーマのFブルース。マクリーンは「Cool
Struttin'」でのアドリブと似たフレーズを織り交ぜて音域いっぱいに歌います。
4曲目(Paul's
Pal)はロリンズのオリジナル。ポールはチェンバースのことですね。ややゆっくりなテンポでともすればだれそうですが、各自手慣れたアドリブです。
タイトル曲である5曲目(Off To The
Races)はFmの循環。「ブルースマーチ」のリズムパターンが入る奇妙な曲です。アップテンポですが、マクリーンは明らかに調子が悪いです。
6曲目(Down
Tempo)は快活なBbブルース。マクリーンは本作一番のアドリブを聴かせてくれます。
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