タイトル曲は「照明を消して録音した」とライナーノーツにあります。エルモ・ホープの参加は珍しいです。プレスティッジ初のアルバムだったはずです。
1曲目(Lights Out)はセッション風のブルース。Doug Watkinsのラインが実に渋いです。続くElmo Hopeもムード満点。McLeanはアドリブの中に微妙なニュアンスを付けて、じっくりと聴かせます。周りのメンバーとの音楽で会話している様子がひしひしと伝わってきます。
2曲目(Up)はファンファーレ一発のテーマ。カッコいいですね。タイトルどおりアップテンポで、コード進行は「I Goy Rhythm」と同じ循環です。Byrd、Mclean共に飛ばしています。こういう早い曲でもまったく破綻がありません。リズム感がいいんですね。
3曲目(Lorraine)はDonald Byrdをフューチュアした美しいバラード。「Embracable You」と同じコード進行です。先発のByrdに続くMcLeanはとても丁寧なアドリブですね。
4曲目(A Foggy Day)は「Pithecanthropus Erectus/Charles Mingus」での演奏が有名です。ここはあのアルバムのようにアクの強いアレンジはなく、ごく普通に流していきます。アドリブですが、ちょっと線の細い音色で極めて丁寧。後年の荒荒しさはまだありません。巧い、という印象です。それにしても、この曲でのElmo Hopeはいつにも増して輝いていますね。
5曲目(Kerplunk)はブルース。前半四小節は「Confirmation」と同じコード進行になっています。ピアノトリオのアドリブから始まるアレンジですがこの部分がとても魅力的です。マクリーンは結構複雑なラインを吹いています。多分、その場で即興で作った曲でしょう。
6曲目(Inding)は循環。McLeanは手馴れているのか、教科書的な見事なアドリブです。またもや、テーマが無い曲か、と思いきや、ラストでテーマが。は「Jackie's Bag」収録の「Quadranglel」と同じ。このテーマはマクリーン曰く「コードが無く、テーマのみの曲」だそうですが、「I Got Rhythm」のコード進行でアドリブをしています。
若かりし巧者が作ったアルバム、という印象です。この時代のレーベル移動後のデビューとしては、上出来ではないでしょうか。スローブルース、アップテンポ、バラード、スタンダード、アップテンポのブルース、と意外に構成を考えてあるアルバムです。
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