BLUESNIK

Matador / Kenny Dorham


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Matador
Liberty 15007
  • El Matador
  • Melanie pt1,pt2,pt3
  • Smile
  • Beautiful Love
  • Prelude
  • There Goes My Heart

April 15, 1962

Kenny Dorham(tp),Jackie McLean(as),Bobby Timmons(p),Teddy Smith(b),J.C.Moses(ds)


 Kenny Dorhamとコンビを組んでいた時代の一枚。スペイン風なタイトルですが、それらしいのは1曲目のみ。あとは普通のセッションです。ありそうで無かったKenny Dorham - Jackie McLean - Bobby Timmons という組み合わせはこのアルバムのみで魅力的ですね。

 1曲め(El Matador)はKenny Dorhamのオリジナル。タイトル通りスペイン風のメロディ、そして5/4の変拍子で展開されます。なんだか演奏するのが大変そうですね。Dorhamのソロはちょっと単調。難しい曲を作りすぎた、というところでしょうか。McLeanはやや前衛的な、短いフレーズを積み重ねるアドリブ。この時期の特徴ですが、音色がやや硬いですね。ややピッチが怪しく消化不良のままTimmonsへ。

 2曲め(Melanie pt1,pt2,pt3)は「Let Freedom Ring」で演奏された「Melofy For Melonae」と同じ。MelanieなのかMelonaeなのか解りませんが、とにかく同一曲です。ソロのテンポは本アルバムの方が速く、その分だけスリリングです。pt1,2,3と組曲仕立てになっていますが、実際にはソロをまわしているだけで一曲。Kenny Dorhamはコードのアプローチのままですが、リズムで聴かせる感じのアドリブですね。ややネタ不足か、というところ。McLeanは非常に緊張感が高いアドリブ。これは良いですよ。惹き込まれます。後半少しダレますが、勢いで押し通します。最後のBobby Timmonsは、ファンキーをベースとしたモード演奏。うなりながらブルージーに繰り返しを続けるアドリブは良いですね。気付いたらアドリブが耳から離れなくなります。

 コンセプト色が強い前半に比べて、後半はリラックスしたスタンダードが並びます。

 3曲め(Smile)はMcLeanにとって後に引退後の復活盤である「Live At Monmartre」で再演することになり、愛奏曲となります。ここではかなりアップテンポでの演奏。Dorhamは持ち味の音色とリズムを強調したアドリブ。こじんまりとしたこの曲にとても似合います。McLeanはこの手の小唄がとても得意なのですが、期待に反して短いアドリブ。内容は申し分無しです。続くTimmonsもGood Job!

 4曲め(Beautiful Love)は有名なスタンダード。Dorhamはお休みでMcLeanがテーマをとります。アドリブは悪くないのですが、ちょっと心ここにあらずという感じがしてしまいます。良くも悪くも及第点レベルというところでしょうか。

 クラシック風タイトルの5曲め(Prelude)もスタンダードでしょうか。私は知らない曲です。展開もクラシカル。ライナーによると、ブラジルの作曲家によるものなのだとか。そういえばちょっとエキゾチックな気もします。なお、この曲はDorhamとTimmonsのデュオです。

 6曲め(There Goes My Heart)は「Mack The Knife」に似たスタンダード。確かめたわけではありませんが、ごく一部を除きほぼ同じだと思います。McLeanのソロは得意のフレーズを畳み掛けて、一気にねじふせていきます。

 終わってみればDorhamとMcLeanのどちらがリーダーか良くわからないアルバムです。実質的に双頭バンドなのでしょう。McLeanとTimmonsの職人ぶりが目立つということでしょうか。「Melanae」の二人の入魂のソロは良いですよ。


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