BLUESNIK

Shades Of Redd / Freddie Redd


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Blue Note 4045
  • The Thespian
  • Blues - Blues - Blues
  • Shadows
  • Melanie
  • Swift
  • Just A Ballad For My Baby
  • Ole
August 13, 1960

Jackie McLean(as),Tina Brooks(ts),Freddie Redd(p),Paul Chambers(b),Louis Hayes(ds)


 ハードバップの魅力の一つにほのかに漂う哀愁というものがあると思います。それを作曲の面から浮かび上がらせた一人が、このFreddie Reddでしょう。演劇「The Connection」が縁で本アルバムにつながったと思いますが、期待通りの結果を本アルバムでも残しています。

 1曲目(The Thespian)はテーマからアルバムThe Connectionの香りが漂い、早くも期待を感じさせます。演奏もばっちり。McLeanは若い頃よりもずっと複雑で豊かな内容のソロで満足です。Tina Brooksも良いですね。

 2曲目(Blues - Blues - Blues)はタイトル通りのブルースなのですが、いわゆるビバップでのブルースではなくて、もう少し歌謡曲的というか、唄を感じさせるマイナーブルースです。先発のBrooksはやや散漫でしょうか。続くMcLeanのソロはバックとも合っていい感じです。限られたスペースで言いたいことを言いきっています。

 3曲目(Shadows)は短いモチーフを重ねたバラード。ハーモニーの中に浮かび上がるMcLeanとTinaのサウンドが実に美しい。McLeanのソロはありません。

 4曲目(Melanie)はFreddie Reddには珍しい明るいムードの曲。何というんでしょうか、テレビドラマの挿入歌のような曲です。Freddie Redd版「The Preacher」とでもいいましょうか。いきなりPaul Chambersのピッチカートソロですが、よく唄っています。このアルバムでは他の曲でもいくつかソロをしていますが、アルコは使っていませんね。Brooksのソロ、そしてMcLeanのソロはテーマの持つ親しみやすさをうまくアドリブに生かしています。前半がちょっと「Sweet Georgia Brown」に似た進行ですね。

 5曲目(Swift)はアップテンポでユーモラスで、かつダンサブルなテーマを持っています。アドリブは急速調。McLeanは前半は良いんですが、後半はちょっと苦しそう。Tina Brooksはここで本アルバム一番のソロを聴かせてくれます。

 6曲目(Just A Ballad For My Baby)はタイトル通りのバラード。McLeanがテーマを、Brooksがサビのリードをとります。アドリブよりもテーマの流れを聴くテイクですね。アドリブは存在しません。

 7曲目(Ole)はタイトル通りのラテン風味。コード進行は「Recaardo Bossa Nova」や「Sweet Love Of Mine」に似ています。アドリブは4ビートです。McLeanのアドリブは本アルバム一番。唄とテクニックが絶妙にブレンドしています。切ないトーンが良いですね。

 ハードバップ成熟期のアルバムです。Freddie Reddの作曲、そしてMcLeanのアルト、Tina Brooksのテナーというフロントに加えて、Paul ChambersのベースにLouis Hayesのドラムですから、悪かろうはずがありません。ハードバップが好きだ、という方で未聴の方は買って損は無い一枚です。テーマの合奏を聴いているだけで、良質のドラマを見たような気分にさせてくれる、そんなアルバムです。


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