マクリーンとティナ・ブルックスのセッションを集めたアルバムです。2,4,6曲は「Jackie's Bag」B面に収録されたセッション。5曲目は「Back To The Tracks」に収録された曲。残りの2曲も日本盤の「Jackie's Bag」にボーナストラックとして発表されていたものです。 これはマクリーン最良のセッションの一つといえるでしょう。いずれの曲も変化に富み、アレンジもしっかりしており、綿密なリハーサルが繰り返されたことが想像されます。
1曲目(Melonae's Dance)はパンチのあるアレンジが効いた曲。ブレイクから飛び出すマクリーンのアドリブは喜びに溢れているようです。ミッチェル、ブルックスも好調。まずは肩慣らしというところでしょう。
2曲目(Appointment In Ghana)はマクリーンのオリジナルの中でも有名な一曲。エキゾチックな(ガーナ風?)イントロはとても印象的です。マクリーンのアドリブは絶好調。この時期のアドリブのベストでいうことなし。ミッチェルもあおられていい感じです。ブルックスはやや苦しそうですが、善戦します。ケニー・ドリューもトツトツとしていますが、味わいあるソロです。
3曲目(Medina)は未発表。キャッチーなメロディはティナ・ブルックス特有の印象的なメロディです。アドリブもティナから。大向こうをはるようなフレイズは出ませんが、決して平凡でない魅力があります。ブルー・ミッチェルはいい仕事してます。最後に堂々と登場するマクリーンは三人の中では風格が見えますが、やや手癖が多いようです。この辺が未発表の原因でしょうか。全体にはとてもいい曲です。
4曲目(Isle Of Java)はちょっとモード風のユニークな曲。いわゆる「一発もの」に近いですね。マクリーンは自由なスペースの中で結構ユニークなフレイズを出します。ティナ・ブルックスは有名?な「メリーさんの羊」を引用。妙に耳に残ります。
5曲目(Street Singer)は「Back To The Tracks」に収録された曲。ミディアム・スローで木目細かなアレンジがほどこされています。ハードバップファンにはこたえられない名曲ですね。冗長になりかねないテンポですが、ブルックス・ミッチェルともにじっくりとアドリブを聴かせてくれます。マクリーンは短いながらも細かくすばやいフレイズで聴かせます。ケニー・ドリューも全体を渋くまとめるいいソロです。
6曲目(A Ballad For Doll)もアレンジ主体のバラード。アドリブはほとんどなく、美しいカウンターメロディとケニー・ドリューのサポートが印象的な曲です。
歴史を変えるような評判はありませんし、派手さこそないものの、気の利いたアレンジが光る名セッションです。これまで未発表のボーナストラックだったものが正式な形で発表されたのがうれしいです。ジャケットが往年のブルーノート風なのもいいですね。
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