半ば引退の時代に、当時人気のあったGreat
Jazz Trioと組んだ日本企画のアルバム。ジャケット写真に時代を感じます。Tony
Williamsとは、彼がマイルスバンドに去って以来の共演になり、これがアルバム上は最後の共演になったようです。
1曲目(Appointment In Ghana Again)は「Jackie's Bag」で演奏された代表的なオリジナル。Ron Carterのベースの音色が気になりますが、Tony Williamsのドラムに助けられて上々の滑り出し。マクリーンの吹くメロディ、リズムにからんでいくリズム陣に注目。マクリーンがトリオ陣に試されているようで、この当時の勢いの差が出ています。実際、マクリーンのソロ終了後のトリオ状態の方がスリリングです。Ron Carter、音色はあまり好みではありませんが、さすがにラインはいいですねぇ。
2曲目(It Never Entered In Mind)はマイルスの名演奏でも名高いスタンダード。マクリーンはテーマメロディのみで、ソロはRon CarterとHank Jonesだけ。Hank Jonesが手馴れたアドリブを聴かせます。
3曲目('Round Midnight)も誰もが知るスタンダード。マクリーンはこれが初演でしょうか。あまりこの手の曲は得意ではないようです。特にハプニングはなく、淡々と進みます。
4曲目(Little Melonae Again)は初リーダーアルバムで演奏された代表的なオリジナル。マクリーンは手馴れた曲になり、ようやくエンジンがかかってきたようです。後半はちょっと苦しそうですが...。Tony Williamsものっていますし、Hank Jonesもカラフルなアドリブ。マクリーンは当時勢いのあったこのトリオに助けられたかっこうです。
5曲目(Bein' Green)はちょっとフュージョンテイストのある甘酸っぱい唄もの風のしっとりした曲。マクリーンにバラードをさせてみたかったのでしょうが、正直、こういう水っぽい感傷的な曲はマクリーンには似合いません。もっと辛口の曲が良かったですね。残念ながら「そつなくこなした」感が強いですね。
6曲目(Confirmation)はマクリーンも数え切れないほど演奏しているであろうバップ曲。ほがらかな演奏です。驚くことに、「4,5 and 6」の頃とほとんど同じようなアドリブフレーズも出てきます。大ベテランのHank Jonesは持ち味どおりの華やかなビバップメロディを堪能させてくれます。
ベテラン大健闘、しかしカンが戻らずに一歩及ばず、というところでしょうか。この時期は少しつらい。マクリーンのフレーズが再び輝くのはもう少し先です。
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